第72回カンヌ映画祭で最高賞となるパルムドールを受賞、第92回アカデミー賞でも作品賞を受賞という「ダブル受賞」を成し遂げた話題作、『パラサイト 半地下の家族』！
2021年1月早々に、地上波でも初の放送がされ再び大きな話題となりましたが、今回はこの『パラサイト 半地下の家族』について、ネタバレと結末、そして気になる濡れ場のソファについても解説しちゃいます！
『パラサイト 半地下の家族』あらすじ
『パラサイト 半地下の家族』の主人公は、部屋の窓から地面が見えるような「半地下」と呼ばれるアパートに住む、低所得層のキム一家です。
父親のギテクは何度も事業に失敗し失業中、母親のチュンスクは元ハンマー投げの選手だったことだけが自慢の肝っ玉母さん、息子のギウは大学浪人中、娘のギジョンは美大志望ながら進学する金がないという、なんとも行き詰った生活をしていました。
しかし、ギウが友人のミニョクから、海外へ留学する間、家庭教師の代わりをしてくれないかと依頼されたことから、キム一家の運命が大きく変わり始めます。
もともとキム一家は、近所のwifiを密かに使ってネットをするなど悪知恵には長けていました。ギジョンが偽造した身分証を使い、ギウは有名大学の学生と身分を偽って、キム一家とは対照的な豪華な邸宅に住むパク家で家庭教師を始めます。
ギウはパク家の高校生の娘・ダヘの家庭教師でしたが、絵の好きなダヘの弟・ダソンも絵を教えてくれる先生を探していると知り、ギウはギジョンをダソンの先生に紹介します。
ギジョンもまた、有名美大の学生と偽って、ダソンの先生役を勤めることになります。
ネットで調べた知識を披露し、パク家の奥様の信頼を得たギジョンは策を練って、パク家の運転手を追い出すことに成功します。
運転手の後釜に父親のギテクを紹介し、こうしてキム一家はパク家に巣くう寄生虫のように、徐々にその生活の中へと潜入していきます。
残る母親のチュンスクも、家政婦としてパク家に入るため、パク家が邸宅に住む前から家のことを知っていると言うベテラン家政婦・ムングァンを追い出す計画を立てます。
強敵と思われたムングァンでしたが、強い桃アレルギーがあることを知り、これを利用してまんまとムングァンも解雇させることに成功。
チュンスクも家政婦としてパク家に雇われることになり、とうとうキム一家全員がパク家で働くことになります。
パク一家がキャンプに出掛けている間、キム一家は全員でパク家の邸宅に上がり込み、勝手に酒や食べ物を持ち出して、つかの間の豪華な生活を楽しみます。
するとそこに、解雇されたムングァンが、地下室に忘れ物をしたと言って訪れてきます。
チュンスクは仕方なくムングァンを招き入れ、共に地下室へ向かいますが、そこでチュンスクはこの家に隠されていた「恐るべき秘密」を知ることになるのでした・・・！
『パラサイト 半地下の家族』ネタバレと結末！
高名なデザイナーが作ったというこの邸宅には、シェルターのような地下室が作られており、そこにはなんと、ムングァンの「夫」、グンセが身を潜めて生活していたのです。
多額の借金を抱えたグンセは、身を隠すためこの地下室に籠り、ムングァンはパク一家に内緒で密かに地下室へ食事を運んでいたのでした。
驚いたチュンスクは「警察へ連絡する」と通告しますが、そこで様子を伺っていたキム一家が地下室の階段を転げ落ち、ムングァンの前に一家が揃った姿を見せてしまいます。
ムングァンはキム一家が計画的にパク家に入り込んだのだと察し、スマホでキム一家の動画を撮影。
これをパク家の主人に送られたくなかったら、言うことを聞け！とムングァンに命令され、立場はあっという間に逆転します。
しかしここで、大雨のためキャンプを中断したパク一家が戻ってきます。
この隙を突いてキム一家はムングァンのスマホを奪い取り、グンセと共に地下室へ軟禁します。
こうして最大の危機を乗り切ったかに思えたキム一家でしたが、思わぬ破綻が訪れます。
ダソンの誕生パーティーが開催される日、地下に様子を見に行ったギウが、隙を伺っていたグンセに反撃されます。
グンセはギウを殴りつけて失神させ、キッチンの包丁を持ってパーティーの行われている中庭へ歩み出ます。
グンセはそのまま、ダソンにケーキを運んでいたギジョンに近づくと胸を包丁で一突きします。
パーティーは思わぬ乱入者にパニック状態になり、ギテクとチュンスクはギジョンを助けようとグンセに飛びかかっていきます。
小さい頃に家の中で見た「幽霊」の正体＝グンセの姿を間近に見たグソンはショックで気絶し、パク家の主人は病院へ運ぼうと、ギテクに車のキーを渡すよう叫びます。
ギテクがキーを投げると、ちょうどチュンスクがグンセをバーベキューの焼き串で刺したところで、車のキーは倒れこんだグンセの下敷きになってしまいます。
パク家の主人は、キーを取るためグンセの体を起こそうとして、思わず自分の鼻をつまみます。
それは、パク家の主人も奥方も常日頃から語っていた、「半地下に住むような、低所得層独特の臭い」が我慢できなかったからでした。
それを見たギテクは反射的に、グンセが持っていた包丁でパク家の主を刺してしまいます。
殺人犯となったギテクは邸宅から逃亡し、その行方は警察の必死の捜索にもかかわらず見つかりませんでした。
グンセに刺されたギジョンは死亡し、チュンスクとギウは裁判にかけられたものの、娘を刺されたことによる正当防衛なども考慮され、重罪には問われませんでした。
こうしてキム一家の潜入生活は終わりを告げ、主人を失ったパク一家も邸宅を去り、新しい家族が邸宅に住み始めます。
殴られたケガも癒えたギウはある日、丘の上から邸宅を見下ろして、家の明かりが規則的な点滅をしていることに気付きます。
邸宅内の照明は、センサーで点灯する自動式に思えましたが、実は地下にスイッチがあり、グンセが家の中に響く足音を聞いてスイッチのオン・オフをする「手動式」だったのです。
グンセも死んだ今、家の明かりを操作しているのは、父親のギテクに違いないとギウは気付きます。
（ムングァンは地下に監禁された時に殴られた傷が原因で、すでに亡くなっていました）
ギテクはギウがボーイスカウトに加入していたことから、モールス信号がわかるのではないかと考え、伝わるかどうかわからない「手紙」を、モールス信号にして家の明かりで発信していたのでした。
ギウはギテクの「手紙」を読み取り、父親が無事なことを知って安心します。
そして、これから心を入れ替えて猛勉強し、お金を稼いで、いつかあの邸宅を購入して、地下に隠れ住む父親を救い出そうと、途方もない計画を考えるのでした。
『パラサイト 半地下の家族』気になる濡れ場のソファとは・・・
半地下に住む低所得層の一家が繰り広げる、高級住宅への「寄生」計画！という物語が、終盤になって予想もしなかった方向へ突き進んでいく展開は、見ていてゾクゾクさせられます。
そんな緊張感あふれるストーリー展開の中に、「なんとも可笑しい場面」を挿入しているのも本作の特徴と言えるでしょう。
中でもネット上で話題になっているのが、キャンプから戻って来たパク家の夫婦が繰り広げる、「ソファの上での濡れ場」のシーンです！
咄嗟にテーブルの下に隠れたキム一家が覗き見る、夫婦の情事は非常にエロチックで、同時にコメディ場面としても秀逸なものになっています。
特に、妻の体を愛撫しようとした夫に、妻が言う「時計回りで」というセリフは、名セリフのひとつとして挙げられますね！
これが、庭にテントを張ってしまった息子のダソンの様子を見ながら・・・というシチュエーションもまた、映画やドラマではあまり見られない、「子供を持つ夫婦の情事シーン」として特筆される部分ではないでしょうか。
更には、それまで家に上がり込んで優雅な生活を満喫していたキム一家が、息をひそめるようにテーブルの下に隠れ、ソファの上にいる夫婦を「見上げる」という構図が、本作のテーマである「格差社会」を暗示しているとも言えます。
また、最後にギテクがパク家の主人を刺す原因となる「半地下の臭い」も、このソファの上で語られるのが象徴的だとも言えるでしょう。
このように、シリアスなテーマを根本に置きながら、エロチックでしかも笑えるシーンを挿入して見る者を楽しませる「エンターテイメント性」が、本作が評価された大きな要因のひとつではないかと思います！
まとめ
今回はカンヌ映画祭とアカデミー賞で「ダブル受賞」という偉業を成し遂げた話題作『パラサイト 半地下の家族』について、ネタバレと結末、そして気になる濡れ場のソファについても解説いたしました。
重いテーマを描きながら、意表を突く展開を持ち、更にエンターテインメント性にもあふれた娯楽作に仕上がっている。
これが、本作が国境を越え、各国で絶賛されている大きな要因ではないでしょうか・・・？
