こんにちは。てるです。
今回は2020年の大学入試のことについて書いていきます。
2020年から新たな大学入試制度に切り替わります。その目的は高大接続による教育改革。
高大接続に関しては、もう何年も前から言われていて、大学の教授やキャリアセンター職員が高校へ行って授業をしたり、
高校生が大学へ授業を受けに来たりといったことは行われていた。
ただ、そういったことだけでなく真の「高大接続」で教育改革を行うということの一つが今回の入試改革です。
Contents
高大接続の教育改革とは?
大学での教育改革と高校での教育改革、そして高校から大学を接続する入試改革のことである。
能力の多面性を重視し、今までの学力(知識)のみでの評価から思考力や主体性や協働力などを見ていこうとしている。
当事者になる高校生(受験生)からしたら、この入試改革によって大学入試がどう変わって
自分にどのような影響があるのかが気になるところだろうが、現時点ではまだはっきりとしていない。
JAPAN e-portfolioとは?
文科省の委託事業としてはじまり2017年10月にオープンしたWEBサイトで、高校生が学内外の活動を記録し教員が確認することができるものである。
「生徒会・委員会活動」、「学校行事」、「部活動」、「探求活動」、「学校以外の活動」、「留学・海外経験」、「表彰・顕彰」、「資格・検定」という項目にわけて生徒の記録がされ、各項目には「振り返り」を記入するスペースがある。
「振り返り」の項目に、それらの「活動」から「何を学んだか、今後どのような活動をしようとしているか」を書くようになっている。
2018年2月時点で高校全体の4分の1にあたる約1,200校が利用している。
また2018年8月から記録は大学へ提供されて出願基準到達者の抽出などに使われる予定になっている。
現在導入を決めているのは、78大学(短大含む)で早稲田、法政、明治、立教などの私立上位校や、東京外国語大学、東京医科歯科大学などの国立大学である。
大学受験の際に重要なデータとなるこの「ポートフォリオ」は、今までの大学入試では重要視されていなかった「活動や学び」の記録として教育現場で積極的に取り入れられようとしている。
JAPAN e-portfolioの意義とは?
JAPAN e-portfolioの意義は、これまでの学校の教育現場では重要視されてこなかった能力や取り組みについて、可視化・数値化することで評価されやすくなる点だろう。
またそれぞれの取り組みについて生徒自らが振り返りを記録することによって成長の記録として大学入試、就職活動に生かしていけることだ。
今までの「教育」に関する議論の中では、エビデンスが抜け落ちていると少し前に話題になった。(中室牧子氏『学力の経済学』2015年)
今回のJAPAN e-portfolioは、生徒自身がどのような意図で、どのような行動・活動をし、そこからなにを学び、その学びを次にどのように生かすか(生かしたのか)、ということを自分の言葉で記録していくので、生徒の学びのエビデンスを明示できるツールとなる。
さらに、現在この学びのエビデンスを測定する(数値化する)ツールとして、教育関連企業が高校・大学向けに様々なアセスメントを開発・提供し始めている。(これについては改めて書きます。)

海外の流れと逆行している?
日本では文科省で構築・運営する高大接続ポータルサイトの「JAPAN e-portfolio」が広がりをみせているが
海外ではポートフォリオ重視ではなく「ノーレイティング」という考え方が広がりはじめている。
「ノーレイティング」とはリアルタイムでの目標設定とその目標設定にたいするフィードバックによってパフォーマンスを高めていこうという考え方である。
この「ノーレイティング」はマイクロソフトやGEやアクセンチュアなどで採用されている。
目的は、従業員が年次評価を気にすることでチャレンジしなくなることを避けることである。
大切なことはなんだろう
評価で大切なことは「なんのため」の評価なのか、「誰のため」に評価するのかではないだろうか。
高校時代のデータが蓄積され数値化されることで、評価をする側にとってはとても利便性が高くなるし合理的かもしれない。
ただそうなってくると高校生(受験者)は、評価の結果や基準に合わせて活動することになりかねない。
評価される活動をする高校生(受験者)が増えれば、多面的評価(主体性)といいながら実際には掲げられた目標にむかって隷属的にうごく人間を増やすだけになる可能性も高い。
大学に入ることがゴールになってしまっては本末転倒である。
まとめ
今回は、「2020年大学入試が多面的評価(主体性評価)に。JAPAN e-portfolioの広がりと意義とは?」テーマで書きました。
大学入試が変わるという話題に触れて、まず思ったのは(相変わらず大人が決める制度変更に子どもが振り回されるのか・・・)ということだ。詰め込み教育の時もゆとり教育の時も、大人が決めたルールで教育を受けただけなのに、社会に出たら「〇〇世代だから・・・」とひとくくりにされ苦い顔をされる。(だから自分のこどもに日本の教育を受けさせたくないという考えの人も増えてきているのかもしれない)
JAPAN e-portfolioの目的は活動を学びとして記録するということなので、成功体験・失敗体験どちらの活動でも自らの学び・成長につなげられれば良いのだが、ややもすれば成功体験になる活動しか書けないという考え方になってしまう可能性がある。
そうすると一度落ちこぼれた(と自分が思いこんでしまったり)、何もしていない(と自分が思いこんでいたり)場合に、ポートフォリオがうめられず悩んでしまう生徒も出てくるかもしれない。
様々な改革や施策の本来のゴールは「自分で考えて行動できる」人を育てたいということなので
大人の都合(評価しやすくなるとか)だけではなく、生徒や学生にとってどのような情報やツールを提供すれば本当の意味での支援・教育になるのか、今一度考えながら進んでいく必要があるように感じる。